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更新日:2023.11.30 / 掲載日:2023.08.08

【日産 スカイラインNISMO】星野一義も登場!NISMOは何が特別なのか?

文と写真●大音安弘

 日産自動車は、2023年8月8日、神奈川県横浜市の日産自動車グローバル本社にて、同社を代表するセダン「日産スカイライン」に、NISMOロードカー「スカイラインNISMO」を設定し、限定車として販売することを発表した。

 発表会には、NISMOコンプリートカーの開発を手掛ける日産モータースポーツ&カスタマイズの代表取締役社長である片桐隆夫氏とチーフビークルエンジニアの長谷川 聡氏。ゲストとして元レーシングドライバーで、レーシングチーム「チームホシノインパル」を率いるホシノインパル代表取締役の星野一義氏が登壇した。

スカイラインNISMOの詳細

スカイラインNISMO

 スカイラインNISIMOは、スカイラインの最上級グレード「400R」をベースに仕上げた純正コンプリートカー。エクステリアでは、モータースポーツで鍛えたNISMOの技術を活かし、エアロダイナミクス性能の向上とNISMOロードカーに相応しいスポーティかつ機能的なエアロパーツを与えている。さらに、スカイライン伝統のサーフィンラインをボディサイドのエアロパーツで再現し、伝統のGTエンブレムも復活させている。

 インテリアは、ベースの400Rの高い質感を受け継ぎつつ、全体をブラック基調で統一。レッドセンターマーク付きの本革ステアリングを始めに、280km/hスケールのスピードメーターとNISMOロゴ入りレッドリング付きタコメーターを備えたメーターパネル、センターコンソールのシリアルナンバープレートなどの専用装備を追加。さらにオプションで、ホールド性を高めたNISMO専用チューニングのRECAROスポーツシートを設定している。

 足回りも専用チューニングが加えられており、ベース車とは異なる前後異形サイズタイヤを採用。後輪をワイド化した高性能タイヤに軽量かつ高剛性な専用エンケイ製19インチホイールを装着。さらにスタビライザーやサスペンションへの専用チューニングはもちろんのこと、専用ブレーキパッドによるブレーキの強化。各部を変更したことを受け、ABSやVDCなどの制御まで見直すことで、高い4輪接地性による車両安定性やコントロール性の高さを実現させている。

特別なチューニングを施したエンジン

スカイラインNISMO

 スカイラインNISMOが特別なのは、NISMOロードカーでは限られるエンジンチューニングを実施したこと。高性能な400Rの3.0L V6ターボエンジンに、G500マシン用エンジンを手掛けたエンジニアがチューニングを加えているのだ。その結果、最高出力が+15psの420ps、最大トルクが+75Nmの550Nmまで強化された。また特別仕様として、前後のウィンドシールドガラスの接着剤をGT-R NISMOにも採用する高剛性接着剤に変更することで、ボディ剛性も高めている。

 スカイラインNISMOには、もうひとつの限定車が用意される。それがS54A-1型スカイラインGT誕生60周年を記念した「スカイラインNISMOリミテッド」だ。同車には、特別仕様として、GT-R用エンジンを手掛ける日産の匠が組み上げた高精度エンジンを搭載。スペックは同様だが、エンジンの吹け上がりの良さなど体感性能が高められているという。この他の専用装備として、日産初採用となる艶消しガンメタリック塗装のアルミホイールやエンジン組み立て担当者名を記した匠ラベル、専用エンブレムなどが装着される。

開発者が語るNISMOが特別な理由

片桐CEO、元レーサーの星野一義氏、チーフビークルエンジニアの長谷川氏

 登壇した片桐CEOは、「スカイラインNISMOのコンセプトは、“ザ・スカイラインGT”。NISMOが磨き上げたスカイラインの集大成というべきクルマに仕上げた」と魅力を語り、NISMOとオーテックの二つのブランドを持つNMC社が総力を挙げて生み出したクルマであることをアピールした。

 開発に携わるチーフビークルエンジニアの長谷川氏は、「現在、車両開発では、シミュレーターの活用で、実験の多くをコンピューター上で再現できる。そのため、走行テストの役割は、より限定されている。しかし、スカイラインNISMOは、昨夏に、北海道にある陸別試験場にテスト車を持ち込み、徹底的に走り込みを行っている。その際、テストドライバーの意見に、技術者が応えることで、感性に響く性能を大切にした」と、高性能化だけでなく、人の感覚を重視した走りのクルマに仕上げたことを説明し、スカイラインファンの心に刺さる一台であるとした。

「日本一速い男」星野一義氏がスカイラインを語る

プリンス スカイラインGT

 発表会後半では、スカイラインを愛機にモータースポーツシーンで多くの勝利と伝説を残した星野一義氏がスカイラインに纏わる思い出が語られた。

 スカイラインNISMOのデザインモチーフともなっている初めてGTの名が冠されたS54B型プリンス スカイラインGTは、なんと星野氏の初の愛車だったという。

 発売当時、新進気鋭2輪レーサーとして活躍していた若き星野氏は、「スカイラインGTは、5速フロアシフトやウェイバーのキャブレーター付き直6エンジンなどカタログを見るだけで大興奮。だから、値引きとかそんなものは全く考えず、とにかく欲しかった」と一目惚れで購入したことを明かした。

 星野氏は、2輪レースから4輪レースに転向し、日産ワークスドライバーへ。後にスカイラインで大活躍したことは皆が知ることだが、最初から憧れのスカイラインに乗れたわけではなかった。

 「先輩がスカイラインに乗るから、僕はFF車のチェリーで参戦。FFで速かったから、“FFの星野”なんて呼ばれたけど、本当は、ちっとも嬉しくなかった」とし、憧れのスカイラインで、レースに出場することを夢にみていたという。

 一番の思い出に残るスカイラインのレーシングカーを尋ねられると、迷うことなく「R32型スカイラインGT-R」と即答。当時、4WDを搭載したスカイラインGT-Rを見て、「ラリーじゃあるまいし、なんで四駆と思った。乗ってみると、600馬力あるレーシングカーなのに、コーナーの立ち上がりで気持ち悪いくらい加速する。これが新しい4WD技術なのかと驚いた。特に雨に強く、速かった」と振り返った。

 スカイラインNSIMOについては、「市街地から高速道路、ワインディングまで、何処でも気持ちよく走れる良いクルマ。GT-Rはハードなクルマだが、NISMOは全てのバランスが良い。特に後輪をワイド化してグリップを上げたのが良く、普通の人だと後輪が滑りそうになると怖いが、その辺もしっかり考えたセッティングになっている。ステアリングインフォメーションなども良く、感性にしっかりと伝わるクルマになっている」と評価した。

価格と販売方法

 スカイラインNISMOは、1,000台の限定生産。価格は、7,880,400円~8,470,000円となり、今年9月上旬に発売予定だ。さらに限定数が100台に絞られるスカイラインNISMOリミテッドの価格は、9,479,800円で、こちらは来年の2024年夏の発売予定。いずれもスカイラインの歴史に残る名車と目されるだけに、購入希望者は早めにディーラーに出向くべきだろう。なお、リミテッドに関しては、抽選販売となる。

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大音安弘(おおと やすひろ)

ライタープロフィール

大音安弘(おおと やすひろ)

1980年生まれ。埼玉県出身。クルマ好きが高じて、エンジニアから自動車雑誌編集者に転身。現在はフリーランスの自動車ライターとして、自動車雑誌やWEBを中心に執筆を行う。歴代の愛車は全てMT車という大のMT好き。

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1980年生まれ。埼玉県出身。クルマ好きが高じて、エンジニアから自動車雑誌編集者に転身。現在はフリーランスの自動車ライターとして、自動車雑誌やWEBを中心に執筆を行う。歴代の愛車は全てMT車という大のMT好き。

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